自己破産の手引き~手続きの流れから弁護士費用までを徹底解説!
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自己破産手続きを破産者が自分でするのは困難。弁護士や司法書士に依頼するのが一般的ですが、司法書士よりも弁護士に依頼するほうが、手間も時間もかからず、結果的に費用も安く抑えることができます。
その理由は弁護士と司法書士との違いにあります。ではどんな違いがあるのかを見ていきましょう。
簡単にいうと、扱っている業務の範囲が極端に違います。弁護士は制限なく法律行為を代理することができますが、司法書士ができるのは主に書類作成のみ。そもそも司法書士は自己破産申立ての権限がないため、金額に関わらず自己破産申立ての代理は一切できないのです。
ただし、法務省で一定の研修・考査を受けた「認定司法書士」であれば、債務額が140万円以下の場合のみ、法務省の監督下で債権者との(貸したカネを返せといった)交渉を代理できます。
以下、簡単な表にまとめましたので、ご参考ください。
弁護士 | 認定司法書士 | |
---|---|---|
裁判所に提出する 申立て書類の作成 |
代理できる | 代理できる |
自己破産申立てにおける すべての手続き |
代理できる | 代理できない |
債権者との交渉 | 代理できる | 債務額140万円以下の場合のみ 代理できる |
債権者との訴訟 | 代理できる | 債務額140万円以下の場合のみ +簡易裁判所でのみ 代理できる |
上の表をご覧のとおり、司法書士には制限があることがわかります。このため費用面で司法書士に依頼したほうが安く済む、と思われがちなのです。
とはいえ、話はそう単純ではありません。
自己破産手続きの種類には、2?3ヶ月で手続きが完了し、費用も1?3万円で済む「同時廃止事件」と、1年以上の期間と50万円以上の費用が必要な「管財事件」があります。
代理できる範囲が圧倒的に広い弁護士であれば、それだけ同時廃止事件で済む可能性も高くなるのです。
それだけでなく、弁護士には「少額管財事件」の申立てをできる特権もあります。
少額管財事件とは、管財事件の費用を20万円、手続きの期間を同時廃止事件同様2?3ヶ月に抑えることができるもの。
こうしてみると、弁護士に自己破産手続きを依頼することで、結果的に裁判所に支払うお金を30万円以上も安く済ませられることがわかります。
最近では法律事務所の中でも、司法書士と同等の価格帯(15?30万円程度)で依頼できる事務所もあるようです。
本サイトでは、法律事務所ごとに自己破産にかかる弁護士費用一覧も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
債務総額が140万円以下と明確にわかっている、かつ確実に同時廃止事件になることが明白である場合であれば、司法書士に依頼するメリットがあると言えるでしょう。
ただし、その場合は自己破産手続きすべてを破産者本人がする必要があります。
というのも、司法書士は法律行為とされる自己破産手続きの代理は一切禁止されているからです。
このため、司法書士が代理できるのは主に書類作成のみ。
債権者との交渉も、法務省に認められた「認定司法書士」債務額が140万円以下の場合に限り、簡易裁判所での訴訟が可能となります。
こうしたいくつもの制限の範囲内でおさまる場合は、比較的リーズナブルな価格で依頼できる司法書士の恩恵を受けられるでしょう。
債務整理の相談先を探していると弁護士事務所だけでなく、司法書士の事務所もあります。そこで「どっちに依頼するのがいいのか」との疑問が出てきますね。両者の違いは代理権の広さ。弁護士は依頼人の代理としてフル活動できます。
かたや司法書士の場合は、せいぜい弁護士の活動範囲の30%程度。相談料金が安めなのが魅力の司法書士ではありますが、権限は弁護士ほど強くありません。だから債務整理では、一般的に弁護士にお願いする人が多いのが現状。任意整理や個人再生、そして自己破産と幅広くに依頼されています。
では、司法書士の出番はないのでしょうか?司法書士は、任意整理で利用されることがほとんど。あまり金額が大きくなく、ややこしくない案件が大半を占めます。司法書士は権限が広くないので、できることが限られてしまいます。
弁護士は依頼人の代理として、裁判所に申し立てを行ったり出廷したり、要するに何でもできるのです。
でも司法書士は弁護士ほど権限が大きくありません。本来は、法的な書類を作成するのが本業です。また司法書士は、債務整理でもできないことが多く、司法書士をせっかく雇ったのに結局は依頼者自身でやらないといけないことが、いろいろ出てくる可能性も。個人再生と自己破産のケースでは、この傾向が強いです。
自己破産で司法書士ができるのは申請書類の作成のみになります。その後の申し立てや裁判の立会いは不可能です。最初の自己破産の申請も、弁護士なら代理でやってくれるので、依頼者が裁判所に行く必要はありません。
東京とか大阪といった大都市などで実施されている「即日面接」という便利な制度があります。弁護士はこの制度を利用できるので、申し立てた当日に裁判管と面接して即日で手続きを始めることが可能です。
しかし司法書士には即日面接の権限がなく、破産手続きの開始まで1カ月ほども待たされるはめに。 費用の面でもあまりお得とは言えず、司法書士へ払う報酬以外にも、いろいろ自己破産に伴う費用が発生して、結局弁護士を雇った場合より高くつくケースもあります。
たとえば管財事件になった場合。弁護士なら少額管財で済ますことが可能です。司法書士は少額管財の権限などなく、高額な管財費用を払う事態に陥ります。
総合的に判断した場合、自己破産手続きを依頼する先は、弁護士が賢明ではないでしょうか。