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記事監修:田中 健太郎 氏
弁護士法人東京スカイ法律事務所 代表社員・弁護士
自己破産をしたら「海外旅行に行けなくなる」「パスポートが取得できなくなる」という噂がありますが、そんなことはありません。ここでは、自己破産が海外渡航へどのような影響があるかお伝えします。
自己破産をしても海外旅行はできます。「自己破産をした人は海外に行ってはいけない」という決まりはありませんので、安心してください。
手続きが完了してしまえば海外に渡航できますが、手続き中は制限されることがあります。
財産が少額の「同時廃止事件」の場合は、海外渡航に制限はありません。個人の自己破産の場合は、ほとんどこちらになるでしょう。
一方、管財事件扱いになった場合は、手続き期間中は居住地を長期間離れてはいけないことになっています。管財事件は、財産をたくさん所有しているケースです。こちらは、海外へ行く場合は、事前に裁判所の許可が必要。手続き中の海外渡航が制限されるだけで、手続き完了後は、許可を取る必要はありません。
管財事件で制限を受ける理由は、逃亡や財産隠しを防ぐ目的があります。無断で海外に行ってしまうと、財産隠しの疑念が生じて自己破産手続きがスムーズに進まない可能性もあるため注意してください。
出張など、理由が明確であれば裁判所からの許可はもらえます。
自己破産をしても、パスポートの取得は可能です。
パスポートの取得は、自己破産手続き中でもできます。新規取得はもちろん、有効期限による切り替えの申請も可能です。また、パスポートに自己破産記録は記載されません。
自己破産したことで海外旅行に影響があるとすれば、クレジットカードです。
自己破産手続き後、一定期間はクレジットカードを作れなくなります。クレジットカードの審査に利用される信用情報機関に「金融事故歴」が記載されるからです。
金融事故歴情報が記載されるのは、自己破産の場合、5年もしくは10年です。記載期間が5年の信用情報機関にだけ照会された場合は、自己破産から5年経過すればクレジットカードを作れるようになります。ただし、どの金融機関も、複数の信用情報機関に照会するため、結局、自己破産後10年間はクレジットカードが作れないと考えておくといいでしょう。
海外に行くときは、現金だけではかなり不便です。そこで、自己破産手続き後に海外旅行に行くときは、クレジットカード代わりに使えるものを用意しておきましょう。
この2つがクレジットカードとして使いやすいでしょう。
デビットカードは、銀行口座から直接お金が引き落とされる仕組みのカード。クレジットカードの1回払いと同様に使えます。見た目もクレジットカードと同じなので、友達にクレジットカードを持っていないことが知られることもありません。家族カードを発行できない場合はデビットカードがおすすめです。
自己破産手続きが完了すれば、海外移住も可能です。海外で住まいを借りる場合も日本での自己破産歴は影響しません。
もし、海外で就職するときに「破産者でない」という証明書の提出を求められても問題ありません。この証明書は、市区町村が発行する「身分証明書」のことです。
免責後に身分証明書を発行すると「破産者ではない」旨の記載となります。
破産者として記載されるのは、「破産手続き中」と「免責許可が下りなかったケース」です。普通に手続きが進んで免責決定すれば、破産者ではなくなるので、安心してください。
自己破産が海外に影響するのは、「クレジットカードが作れないことだけ」だと言っていいでしょう。これは日本でも同様です。日本国内はクレジットカードがなくても困りませんが、海外旅行では不便。その意味では、自己破産の影響はあります。クレジットカードが使えなくてもデビットカードで乗り切れますので、過度に不安に感じることはありません。
自己破産したことで、海外旅行に影響があるのは、クレジットカードが使えないことですね。これは、金融事故歴として信販会社に残るため、一定期間はクレジットカードを作れない状態が続きます。
海外に旅行したときに、クレジットカードが使えないと不便ですよね。その時は、デビットカードや他のカードで代用するしかありません。ただ、自己破産の手続きが完了すれば、海外移住や住居借りに付いても問題なく行えますよ。
自己破産による影響は少なからずありますが、他の方法で乗り切れるので海外旅行などで不安に感じる必要はないでしょう。もし、海外での影響で不安がある場合は、東京スカイ法律事務所にぜひ一度相談してみてください。
2011年(平成23年)設立の弁護士事務所。良心的な価格設定と相談しやすい体制が特長です。自己破産などの債務問題を得意としており、法律相談実績は2023年7月調査時点で20,000件以上(※)。実力派の弁護士ぞろいで、借金問題については無料での法律相談を実施しています。