記事監修:田中 健太郎 氏
弁護士法人東京スカイ法律事務所 代表社員・弁護士
自己破産後の人生や生活について、家族や保険、生命保険はどうなるかといった項目について、まとめて紹介していきます。
自己破産をすれば、借金の法的な支払い義務が免除されます。たとえ何百万または何千万と借金があっても、裁判所に自己破産さえ認められれば返済する必要はありません。借金問題で悩んでいる人にとって、最後に行き着く手続きが自己破産。任意整理や個人再生といった、数ある債務整理手続きの中でも最終手段といえます。
だから「相当なデメリットを負う?」「借金がなくなるかわりに、将来の生活を犠牲にしなければならない?」といった不安を抱く人が多くいることでしょう。そうした不安を払しょくできないで自己破産の手続きに踏み出せないまま、無理な借金返済をし続けて、身を滅ぼしてしまう人までいるのです。
では、こういった不安はどうやって解消すればいいのでしょうか。まず、自己破産後の生活がどうなるのかについて、詳しく知っておくことが大事です。自己破産するとどうなるのか見当がつかないから、心配になってしまうのです。
そこで自己破産後の生活について、具体的に解説していきます。とくに職場や就職への影響といった仕事面や、再度の借入が可能なのかどうか、また家族への影響はどうかといった私生活面、自己破産することで何が変わってしまうのか、いつかは回復できるのかなどについて詳しく記載していきます。
ところで、最近では法律事務所が業務停止になる問題が、世間を騒がせました。県の法律事務所に相談をしたのに「電話がつながらない…」「この先どうすれば…」と困り果てている人が多くいると聞きます。自己破産をはじめ債務整理の相談をしたのにこれでは、どうしようもないことですね。
法律事務所選び、特に自己破産に対応している弁護士がいる事務所を選ぶにも細心の注意が必要ですよ。とくに自己破産は債務整理のなかでもハードルの高い手段。慎重になってしかるべきです。
自己破産をすると、周囲の人にばれるという可能性は、ゼロとは言い切れませんが、限りなく低いと言えます。
また自己破産したことに伴い、課せられる各種の制約によって不審に思われる可能性はありますが、それらも上手く対策しておけば、ばれるリスクは大きく回避できるのです。
自己破産手続きを考えてはいるものの、躊躇っているという方の中には、自分が自己破産をすることで家族にどんな影響があるのかを心配しているという方も多いことでしょう。
端的に言ってしまえば、直接的な影響はありませんが、間接的な影響はある場合も考えられるということになります。
自己破産手続きを行うには、車や家といった財産は、20万円相当以下と判断されない限り、手放さなくてはなりません。とは言え、愛着あるものをなんとか残したいと思うのは当然です。
そこで、車や家を残す方法について考えてみましょう。
車や持ち家はどうなるの?
自己破産後も残したい場合は
どうすれば良い?
自己破産の手続きを行うとなくなってしまう資格というものはありませんが、一定期間、効力が制限されてしまう資格はあります。
具体的な資格と効力が制限されてしまう一定期間について詳しくみていきましょう。
自己破産を行う際は、20万円相当以上と判断された財産についてはすべて手放し、債権者に分配されるというのがルールです。生命保険も例外ではありません。
ただし、重要なのは加入している生命保険が財産にあたるかどうかです。例えば、掛け捨てタイプである場合は、解約の必要はありません。
一方、積立タイプで解約返戻金が20万円以上という場合には話が違ってくるのです。
自己破産をすると載るといわれているブラックリスト。実は、ブラックリストという名のリストが存在するわけではありません。この場合のブラックリストとは、信用情報機関に自己破産の事実が登録されることを指しています。
自己破産というとデメリットばかりが目立つ方法ではありますが、メリットもあります。借金の返済が難しくなってしまった場合の最終的な手段として取り入れられる自己破産のメリットとデメリットについて詳しくみていきましょう。
自己破産というと、財産をすべて失い、全く何もないような状態からスタートするイメージがありますよね。自己破産は本当に最終的な手段として考えている方も多いのですが、具体的に自己破産後にできなくなることについて詳しくみていきましょう。
現在において必需品ともいえる携帯電話。すでに機種代金を払い終えていて滞納もない場合は何も問題なく使い続けることができます。しかし、機種代金が残っていたり、滞納をしている場合は自己破産により未払分が免除になる代わりに携帯電話が使えない状態になってしまうのです。
では、自己破産直前に何とかしてお金をかき集めて機種代金や滞納分を支払えば良いのか?というと、この選択肢は危険な場合も…。
具体的に、自己破産をした後の携帯電話の扱いはどのようになっているのかについて詳しくご紹介します。 注意しなければならないこととして、自己破産後に携帯電話が使えなくなると困るからまとめて滞納分を支払おうと考えるのはやめておいた方が良いでしょう。
というのも、携帯電話が止まるのを避けるために滞納していた料金を自己破産前にまとめて払ったりするとすべての債権者を平等に扱っていないと判断され、免責不許可で自己破産が認められなくなるリスクがあります。
クレジットカードといえば非常に便利なアイテムではありますが、クレジットカードを使いすぎたことによって借金に悩まされる結果になってしまう方も…。
残念ながら自己破産をした後はしばらくの間はブラックリストに掲載されるため、新規にクレジットカードを作ることはできません。ただ、クレジットカード払いしかできないものもありますよね。そこで、自己破産後のクレジットカードについて注意しておきたいことや対策についてご紹介しましょう。
自己破産をしたからといって通常であれば職場をクビになるようなことはありません。ですが、職業によっては資格制限の影響を受け、一時的に働けない状態になってしまうものもあるのです。
具体的にどういった職業が影響を受けるのかについてご紹介しましょう。また、資格制限・職業制限を受けるのは一定期間となっているため、一生続くわけではありません。どのタイミングから制限の対象になるのか、いつ問題なくなるのかなどについてもご紹介します。
自己破産をした場合、住んでいる家の賃貸契約には影響ありません。ただし、家賃の滞納がある場合は、契約解除のリスクがあるため注意してください。また、新しく契約する際、審査に通らないケースがあります。
自己破産の手続きが完了した後は、海外渡航への影響はありません。パスポートも発行可能。しかし、手続き中の海外渡航は制限を受けるケースがあります。自己破産の影響が大きいのは、海外旅行中に使うクレジットカードでしょう。
1度、自己破産をしたあとに、2回以上の自己破産をすることはできるのでしょうか。可能であるならば、その条件とは? やむにやまれぬ事情などで再び自己破産を考えている方に、わかりやすく解説しています。
自己破産は配偶者やその家族にとっても大きな出来事。何らかの悪影響があるとしたら、離婚すべきなのでしょうか? 離婚するのであれば破産する前と後のどちらがいいか、タイミングについても説明しています。
「自己破産すると官報に掲載される」というデメリットを聞いたことはありませんか?官報とは、内閣府の発行している新聞のことで、自己破産した人の個人情報などが掲載されています。
では、具体的にどのような情報が載ってしまうのでしょうか?「自己破産が知人にばれるかもしれない…」と不安を抱いている人は、チェックしておきましょう。
自己破産と雇用契約は直接的な関係がないため、手続きを行っても解雇される心配はありません。ただし、士業や一部の公務員など、自己破産によって就業が制限される仕事や資格は存在するので注意が必要です。
また、給与やボーナスも基本的には満額受け取れますが、自由財産や自由財産拡張の枠を上回る場合は手元に残すことができません。
自己破産をしてから5~10年間は、事故情報が信用情報機関に残ってしまいます。そのため、その間は住宅ローンを組むことができません。もちろん、事故情報が削除されてからであれば住宅ローンの利用が可能です。とはいえ、返済能力が低ければ審査に通らないため、頭金を多めに用意するなどで金融機関からの信頼を勝ち取る必要があります。
親の借金はあくまでも親のものなので、成人している子どもが連帯保証人になっていない限りは、親の自己破産で子どもに影響が及ぶことは基本的にありません。親が不安に感じやすい子どもの進学や就職、戸籍、子どもの財産などについても、自己破産で子どもが不利益を受けることはないので安心してください。どうしても不安な場合は、弁護士や司法書士に相談しながら借金返済の解決法を検討すると良いでしょう。
自己破産したら養育費も払わなくて済むのでは?と考える人もいるかもしれませんが、養育費の支払い義務はなくなりません。養育費を受け取るのは子どもの権利であり、支払う側の都合で免除されるべきではないと考えられるからです。次のページでは自己破産と養育費の支払い義務について解説します。
自己破産は多くの人に選ばれる経済的な選択肢であり、恥ずかしいことではありません。困難な状況からの脱出や再出発を求める人々が、法的な手続きを通じて、新しい未来に向けて前進しています。その理由をわかりやすく解説します。
自己破産を行う場合、破産者には「引っ越し・旅行の制限」や「職業・資格の制限」などさまざまな制限が課されます。この法律上の制限が解除されることを「復権」といいます。こちらでは自己破産の復権の種類と方法、また復権するまでにかかる期間や復権したかどうかを確認する方法について紹介します。
以上、住宅や車、持っている資格などが自己破産後にどうなるかについて見てきました。自己破産に対応する弁護士に相談して借金をなくしてもらうとともに、自身の生活でも気をつけておくべきポイントをまとめておきます。
自分の収入以上の生活をすれば、経済的に破綻してしまうのは当然です。物欲やプライドに捉われての買い物や食事、旅行などをしてしまえば、以前の二の舞いですので、慎むべきです。
自己破産すると、官報に記載されてしまいます。一般の人は官報をほとんど目にすることはないでしょう。ただし、自己破産者を狙う悪徳な業者は見逃しません。
悪徳な業者は官報を見て、巧妙な手口でお金を貸そうとしてきます。借り入れができない破産者にとっては、ありがたいようにも思われがちですが、絶対に気をつけましょう。
自己破産して借金が全額なくなったから良かった…と安堵しているだけではいけません。借金のため、多くの債権者に迷惑をかけてしまった事実を反省すべきです。
反省しない限り、もう一度同じことを繰り返してしまう可能性が、なきにしもあらず。再び、自己破産を行う結果につながることにもなりかねません。
自己破産を一度起こすと、以後7年間は申し立てを行えないことを覚えておきましょう。自己破産で借金がなくなり、新たな生活への始まりを迎えるのですから、生活の見直しを徹底することが大事です。
2011年(平成23年)設立の弁護士事務所。良心的な価格設定と相談しやすい体制が特長です。自己破産などの債務問題を得意としており、法律相談実績は2023年7月調査時点で20,000件以上(※)。実力派の弁護士ぞろいで、借金問題については無料での法律相談を実施しています。